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古着屋開業時のテナント契約時の注意点
今回のレクチャーはテナント契約時の注意点についてお話します!
「テナント」とは英語で賃貸物件を借りる人、日本語で言うと「店子」という意味です。だからよく「テナント募集!」みたいに書いてありますよね。でも「テナントを借りる。」みたいにも使います。
現在では賃貸物件の方を「テナント」という意味で使用することが多くなっています。この講座では賃貸物件の意味で「テナント」を使用しています。
ボク自身、3回のテナント契約経験があります。そのときに学んだ注意点も織り交ぜてテナント物件契約時に気をつけなければならないことについてお話したいと思います。
あなたがいいなと思っているテナント物件があるとします。普通「テナント募集」という看板が付けられていると、そこの書かれている不動産仲介業者に連絡して家賃や間取りを聞いたり実際に中を見せてもらったりするのが普通です。
でも、あまり知られていないのが、「テナント募集」の看板が付いていなくても、気になる空き店舗だったり空き倉庫だったりを見つけた時は、近くの不動産仲介業者に連絡して、家主と交渉してもらうことができます。なので、雑誌に載っている物件や看板がある物件だけがあなたが借りられる物件ではないと覚えておいてください。
・スケルトンと居抜き
貸し店舗には大きく分けて「スケルトン」と「居抜き」があります。
「スケルトン」はほとんど倉庫のような物件で、コンクリート打ちっぱなしのところが多いです。「居抜き」は前の業種の備品や照明などがそのまま残った物件です。似た業種ならほとんど改装なしでそのまま開業することもできます。
下の画像はボクが移転オープンするときに借りた「スケルトン物件」です。シャッター開けたらすぐ店内という感じだったので、大工さんに入り口を作ってもらい始めています。奥の方に見えるのは前に壁を取り付けていた枠組みなんですが、使えそうなので廃棄せず残してもらいました。
この様に気に入った物件を見つけて中を見せてもらったときに、使えそうなものといらないもののチェックをしましょう。使えそうなものは残しといてもらって、必要のないものは処分してもらいます。
ボクの場合は天井が事務所のような白地に無数の黒いミミズみたいな穴が開いてる笑(多分防音のため?)よくある天井に普通の蛍光灯が付いてる状態だったんですが、契約の前に電気の線と枠組みだけ残して撤去してもらいました。これでかなり天井が高くなって店内が広く感じます。
ここで注意することは、契約前にある程度あなたが望む形になるように、大家さん側にお願いして撤去したりクリーニングしたりしてもらうことです。契約後に言うと自費になる可能性もあるし、大家さんとのトラブルにもなりかねません。
契約書はよく読んで、意味の分からないところは不動産仲介業者に尋ねましょう。よく読まないと、契約を大家さんの都合でいつでも打ち切ることができると書いてあったり、出ていくときの「原状復帰」のことがあなた不利になっていたりすることもあります。
・定期建物賃貸借契約書
契約書には「普通建物賃貸借契約書」と「定期建物賃貸借契約書」があります。「普通、、、」の場合は契約者が賃貸契約の更新を希望する限りずっと契約は継続されます。しかし「定期、、、」は原則として契約期間が満了した時に契約は終了します。
契約書には「原状復帰」についても書いてあります。あなたが物件を出ていくときには「あなたが借りた時の状態に戻して」出て行ってください。というものです。ボクの場合は、初めの店でテナント物件を借りていた時は、後先のことは何も考えてなかったので笑、天井を走るパイプを全て真っ赤に塗ったり、分厚いコンクリートの壁に穴を開けたりけっこうやりたい放題してましたが、家主のおばあさんとかなり良好な関係にあったので、何となくの「原状復帰」だけでオッケーをもらいました。
しかし、次の店舗では家主さんは頑固一徹で人の意見を聞かない感じの人で、ボクがテナントを借りる際に「完全なスケルトン」にするので、今あるトイレを潰して本当に何もない状態にしてから貸す!と言って聞きませんでした。
トイレを潰されると新しいトイレを作るのに何十万もかかってしまいます。トイレが無いわけにはいかないので、、。ボクは大家さんに掛け合ってトイレを潰さないように頼みましたが、なぜか話は通じず、取り壊す日程も決まったので、もう一度管轄の不動産屋さんに行って、出ていくときに自費でトイレを潰してきれいに片づける旨を書いた書面を作って、一緒に大家さんを説得してもらいました。
人によると思うのですが、大家さんの人柄というのはすごく重要になってきます。あまり馬が合わない人が大家さんでもできるだけにこやかに対応した方が無難です。しかしこっちの要求はちゃんと伝えなくてはなりません。
大家さんの中には、長い間家賃収入がメインの収入で過ごしてきているので、社会経験が浅く、こっちがお金を払って借りているという事を忘れて「貸してやっている」というような態度で来る方もいます。あと高齢で、こちらの言っている事を理解してくれなかったり、年の若い借り主であるこちらを子ども扱いする方もいます。
ボクの2店舗目の場合は、内装にも口を挟んできました。上の画像にステンレスのドアが見えると思います。あれは何だかイメージとは違うので、色塗っていいかどうか尋ねたところ、即答で「ダメ!」と言われました。
テナントの契約を終える時にペンキは綺麗に剥がすから、とお願いしましたが、ダメでした。しかし、どうしてもステンレスのままにしたくなかったので、薄い鉄板を買ってきてそれを扉の形にカットして、鉄板に色を塗ってその鉄板を(いつでも剥がせるように)扉に両面テープで貼るという手法をとりました。
その作業中に大家さんが入ってきて何をしているのか尋ねるので、「扉自体に色が塗れないので、色を塗った鉄板を両面テープで貼ることにしました。」と答え、さっき貼り終えたばかりの鉄板を一部剥がして、いつでも剥がせるということを見せたのですが、ご高齢で少し耳が遠いせいか、理解されずご立腹の様子で帰っていかれました。
その夜家に大家さんから電話がかかってきて、「扉にあんなことをされたら困る!」と、「元に戻しておいてくれ!」、と言われました。
ボクは一応剥がして、店がオープンして大家さんが挨拶に来てくれた後に鉄板を貼り戻しました笑。
ボクのやったことがいいとは言いませんが、物件を出ていく時はきちんと鉄板を剥がして、テープ跡も見えなくなるまできれいにふき取りをしておきましたよ。
先述のトイレは退去するギリギリまで取り壊す算段をしていたのですが、長い間借りていたので、その間に高齢だった大家さんは亡くなってしまい、跡を継いだ大家さんの奥さんはトイレは残しておいてほしいと言ってくれたので、トイレは結局取り壊すことなく物件を後にしました。
・工務店に頼んではダメ!
契約書をよく見ると、「指定する工事業者に依頼する」と書いてあることがあります。この場合不動産仲介業者のお抱え業者か大家さんの知り合いの業者などを使うことになるのですが、不動産仲介業者も大家さんもその場合は仲介料を取るので、コストは割高になります。
これも、絶対にその業者を使わないといけないということはありません。知り合いの大工さんにお願いしたい、と交渉すれば大体の場合オッケーしてくれると思います。もし知り合いの大工さんがいない場合でも、電話帳やネットで検索して「工務店」を通さずに直接大工さんにお願いした方が半分以下の値段でできることがほとんどです。
この上の画像は大工さんに入り口を付けてもらった時のものです。この後茶色いステインで渋い感じに変えてしまうのですが、この入り口、不動産仲介業者の薦める工務店で見積もりを取ってみたらなんと「80万円」を超えました!
でも同じ図面を個人の大工さんに見せたところ20万~30万円ぐらいという見積もりだったので、何とか20万円で仕上げてほしいとお願いして最終的に「20万円プラス消費税」で請け負ってもらいました。
これでも分かるように、工務店や不動産仲介業者が紹介するところは見積もりだけは取ってもいいですが、依頼しないのが得策です。見積もりを取ったからお願いしなくてはならないわけではありませんしね。見積もり後に営業の人が来たら、「知り合いの大工さんがやってくれることになったんで、今回はすいません!」と謝っておきましょう。
・使える電気量をチェック
契約に際して重要なのはトイレや電気、電話線などのインフラです。いくら立地と広さや形が理想的でもトイレがなければ、トイレ設置にものすごい費用がかかってきます。もともとトイレがあって配管は来ているのと、まったく何もない状態にトイレを作るのでも全然費用が違ってきます。
電気もブレーカーをチェックしてどのぐらいの電力まで使えるかチェックしましょう。使える電力を知っていないと、例えば、エアコンをかけながらアイロンの電源を入れたらブレーカーが落ちる、みたいなことが起こります。使用する予定のものよりも電力が足りてない場合はブレーカーを増設することができるので、電気屋さんにご相談ください。この場合も工務店には頼まないように!
電力にも「電力」と「動力」というのがあって、「電力」は一般家庭用、「動力」は工業用だったりします。動力が通っているとかなりの電力を使うことができるので大型のエアコンなども設置できますが、基本料金だけで優に1万円を超えるのでおススメできません。
敷金、礼金
物件を借りるときによく「敷金(保証金)・礼金」と書かれていますよね。「敷金(保証金)」とは借主が出ていったあとに、家主が「原状復帰」させるのに必要なときに使うお金で、きちんと借りた時のように「原状復帰」させておけば返ってくるお金です。
「礼金」というのは、物件を貸してくれる大家さんにお礼として払うお金です。あんまり釈然としませんが笑、このお金は返ってきません。
敷金礼金も最初の経費と考えるとかなり高額でしんどい出費ですよね。でもこれも大家や不動産屋と交渉して値引きしてもらえます。絶対にとは約束できませんが、すべての取引で向こうから値段を下げてくるなんてことはまずないので、すべての交渉で値段が下がる余地はあるかどうか聞いてみましょう。
最初は値切るのに抵抗があるかもしれませんが、一言聞いてみるだけで数万円やすくなることもあるんですよ。これから海外仕入れに行くと呼吸をするぐらい頻繁に値段交渉しなければならないので初めから慣れていきましょう。もちろん、家賃の交渉も当然行ってください。敷金礼金は一時のことですが、家賃で5,000円/月安くしてもらえたとしたら、年間6万円、10年店が続いたら60万円の値引きってことですから。
・「設備」と「残置」
細かいところですが、気を付けといたほうがいいものは「設備」と「残置」と書かれているものに対してです。「設備」とは物件とともにセットで借りているイメージでエアコンが最初から「設備」としてついていれば、大家さんの所有物なので、何か問題があったときに大家さんに頼んで直してもらうべきものです。当然修理費は大家さんが支払います。
「残置」とは前の借主さんが置いて行ったもので、よかったら使ってください、というものです。所有権は大家さんにはなく、壊れたりしても自分で直さなければなりません。なので、契約を結ぶ際に備品がついていたら「設備」と「残置」のどちらなのかをチェックしておく必要があります。
この様にテナント物件を契約する際に気を付けることはたくさんあります。雨漏りなど雨が降ってないと分からないことも出てきますが、どこまで不動産仲介業者と家主さんがカバーしてくれるのか、という話をきちんとしておきましょう。
「店舗保険」というのがあって、会社によって細かいところは異なりますが、看板が落ちて人に当たったり、盗難被害にあったり、入り口の窓が割れたり、といろんな店舗経営の不安を割と少額で保証してくれる保険があるので入っておくことをおススメします。
できるだけ経費をかけずにお店を仕上げる方法はその道の従事者に直接電話する、ということです。斡旋してくれる工務店などの場所の斡旋料はびっくりするぐらい高い、ということを肝に銘じといてください。これからも店舗経営に有益な情報をお伝えしますのでお楽しみに~♪
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